集中豪雨をもららす条件①と②に加えて、条件③(地面付近の暖かい空気の上昇による対流の発生)がヒートアイランド現象で起こりやすくなっており、それがゲリラ豪雨の増加に拍車をかけているとも言われています。
自動車やエアコンの室外機から出る排熱などが、狭い地域で集中して発生することで急激な上昇気流を引き起こし、都市部の上空における積乱雲の発達につながり、大雨をもたらすということなのです。
都内で見ると、ゲリラ豪雨が頻発している地域があるそうです。ひとつは練馬から板橋にかけての東西方向の地域で、もうひとつは下北沢から中野にかけての南北方向の地域。
[map:東京都中野区]
これはどちらも環状7号~8号線の周辺地域です。もともとこの地域は、環七雲環八雲が発生することろでした。東京湾からの海風(湿った大気)と相模湾からの海風(湿った大気)がぶつかって滞留しやすい場所であることに加えて、自動車交通量の多い環状7号・8号線付近ということで、自動車の排熱によるヒートアイランド現象や自動車の排気ガスに混ざっている「浮遊粒子状物質」が雲の発生を促します。
さらに、湿った海風だけでなく新宿近辺の空気がこの地域に流れてくることも、この地域の積乱雲発生の要因に加味されます。新宿歌舞伎町や新宿副都心のエアコン排熱を含んだ大気が、風の流れで新宿西口高層ビル群にぶつかることで上昇し、海風の流れに乗って西側へ移動するという訳です。
それらの大気が、練馬から板橋にかけての東西方向の地域と下北沢から中野にかけての南北方向の地域にその日の風向き等により別れて、環七雲、環八雲を一部巻き込んで発達した積乱雲を発生させているのではないかということなのです。
これは東京都内での事例ですが、他の地域でも都市部でゲリラ豪雨が頻発している場合は、このような大気の流れやヒートアイランド現象がゲリラ豪雨を引き起こす原因と考えられるのではないでしょうか。
また、郊外でゲリラ豪雨が発生する場合も、都市部で発生した熱い空気が流れ込み、上空の大気の状態・気圧配置などと相まってゲリラ豪雨を発生させるということは十分に考えられます。